カフカ

『家を背負うということ』とカフカの作品を比較する

岩波現代文庫の『臨床家 河合隼雄』という本の、冒頭におさめられている『家を背負うということ』を、僕はもう何度も読んでいる。すでに十回は読んだと思う。 これはある女性の治療の記録である。岩宮恵子という臨床心理士による女性の面談記録と、その治療…

『城』を読む (後半)

前回に引き続き、カフカの『城』を解読していく。本稿では後半を扱う。本稿で示すページ番号は角川文庫の原田義人訳の『城』にもとづいている。 『城』は、前半が問題設定のパートだとすると、後半は問題解決のためのパートである。未完の小説なので、まとま…

『城』を読む (前半)

フランツ・カフカの『城』を原田義人の訳で二度読んだ。それについて書く。 前提 本稿は、カフカの『変身』と村上春樹の『かえるくん、東京を救う』、またカフカの『城』の原田義人訳、そして次の記事を読んだ者を対象にしている。 riktoh.hatenablog.com 読…

『外套』を読む

ゴーゴリの短編小説『外套』を岩波文庫の平井肇訳で読んだので、それについて書く。 物語の大枠 この小説は基本的にはリアリズムで書かれている。人物の外見や事物の描写は細かく的確であり、生活や仕事のことまで踏み込まれて書かれている。そのような文体…

13回のヤナーチェック

『1Q84』の最初の青豆の章には、文庫版では24ページの中に「ヤナーチェック」という固有名詞が13回も登場する。この繰り返しについて本記事では解説をおこなう。 セルバンテスは『ドン・キホーテ』中の短編『愚かな物好きの話』において、小説の最も基本的な…

『海辺のカフカ』におけるメタファーの性質

『海辺のカフカ』には「メタファー」という言葉が頻繁に登場するのだが、これは本作を読み解く上での鍵となっている。そこで本稿ではその意味や性質について整理してみた。 主体がメタファーを作り上げる 簡潔に述べると、『海辺のカフカ』流の「メタファー…

『変身』と『かえるくん、東京を救う』

フランツ・カフカの『変身』と村上春樹の『かえるくん、東京を救う』について書く。村上春樹の短編は『変身』の優れた解説になっている。 二つの小説の共通点 人は毎朝起きて出勤しなければならない。このような多くの人が体験している、しかし解決というこ…