2025-01-01から1年間の記事一覧

アイロニーの遡及の性質について

僕は今ジョン・アーヴィングの『ガープの世界』を読んでいる。新潮文庫の上巻でP114まできた。ここまで読んで考えたことを記事にまとめようと思う。 考えさせられたのはアイロニーについてだ。この小説には全編にわたってアイロニーの力が満ちている。皮肉な…

長編小説『アラタ』を発表しました

自作の『アラタ』を公開しました。約10万字の長編小説です。よろしければお読みください。 kakuyomu.jp 以上

村上春樹以降の文学

村上春樹が登場して以降の文学というのは、読むことに関しては村上春樹が何を考えてどのように作品を作ったかを理解するゲームになり、書くことに関してはどうすれば村上春樹を凌駕できるかを考えるゲームになってしまった。それ以外の要素は何もない。文学…

役に立つ

世間では小説が売れていないらしい。日本ではどんどん小説の売り上げが下がっていっているという事実がある。 そんな中で小説家として商業デビューをはたし、自作を売るために僕は何をすればよいのか? 出版社と協力して本の宣伝方法を変えるのか。装丁を変…

読む本がない

僕には読むべき小説がない。それで困っている。なぜ困っているかというと、早く成長したいからだ。自分の文学観を強大なものにして、優れた物語の在り方を知悉し、作り手としてレベルアップしたい。そういう思いが僕にはあるのだが、読むべき小説がないため…

エビデンスが存在しないが正しい知識

この世には「エビデンスが現在存在せず、今後も決して存在することはないが、正しい知識」というものがある。 たとえば村上春樹の『かえるくん、東京を救う』はフランツ・カフカの『変身』を土台にして書かれているというのは、文学のセンスがある人なら誰で…

メタファーの構造

前回の記事からの続きである。 メタファーというのは電子メールのようなものかもしれない。ある世界から別世界への言伝。ある世界に存在する事物なり人なりから一方的に送られてくるメッセージがメタファーであり、それにはスマートフォンのような受信機が必…

無について考えている

僕は書くべき原稿がない状態になった。最低でもこれから一ヶ月は何も書かないと決めている。それで何をしているかというと、ともかく無について考えている。無について考えているとは、つまり何も考えていないのと同じことだ。 僕は無だ。からっぽ、と言って…

円城塔賞向けに三本の小説を書きました

僕は三本の短編小説を書き、カクヨムに投稿しました。いずれも20分で読める内容です。よければお読みください。 kakuyomu.jp kakuyomu.jp kakuyomu.jp 「円城塔賞」のタグはカクヨムコンが開始されたら付けることにします。 以上

沈黙する

最近僕はツイッターをやめた。Discordもいくつか大きなサーバーを抜けた。それでツイッターや抜けたDiscordサーバーで経験したことを色々思い返していたのだが、ともかく今は人や作品をけなすことのできない風潮だな、と思う。いかなる文脈においても、いか…

難しいことを易しいことに翻訳する力

作家が小説を書くに当たって必要とされる能力のひとつに、難しいことを易しいことに翻訳するということがある。文学上の真理はおうおうにして難しい。それを読者にも理解できるような形に変換することが作品をつくるにあたって大切になる。 僕は最近、短編小…

継承というテーマ

僕は今までに継承というテーマを書いた作品をいくつか見てきた。村上春樹の小説『街とその不確かな壁』、ジブリの映画『君たちはどう生きるか』、ジョン・コナリーの小説『失われたものたちの本』、サトクリフの小説『第九軍団のワシ』、ダレン・シャンの小…

影と鏡像8

前回の記事では左右関係を俯瞰して述べるということをした。影と鏡像7 - Costa Rica 307 ここでは俯瞰という視点からではなく、自分自身の視点から、つまり主観で見たときに左右関係はどう目に映るのかということを述べたい。この記事で述べているのは影と鏡…

母性について

ここ10年ほどで母性という概念がだいぶ積極的にオタク界のコンテンツで取り上げられている。代表例は『エヴァンゲリオン新劇場版』だろう。 note.com 上記の記事で解説しているが、この作品は男性の主人公がまず父性を成長させる。その時点がちょうどミッド…

話中話に関する考察

僕は『高野書店』という短編で話中話を無理やり改造してみせた。正道ではなく邪道の話中話をそこではくりひろげた。 僕は話中話という構造に興味がある。それを縦横無尽にあやつりたいという願望がある。しかしもう邪道をやりたいとは思わない。同じことを二…

自由はない

人に自由はない。たとえば僕は小説を執筆する際はいつも意識的に考えることをやめて、無意識から言葉をとりだしてくることにのみ集中しているが、とすると僕の執筆行為は自身の無意識に支配されていることになる。そこでおこなわれるのは僕と無意識のあいだ…

需要に応える

前回の記事の続きである。魂とは何か2 - Costa Rica 307 僕は先日、佐藤弘夫の『人は死んだらどこへ行けばいいのか: 現代の彼岸を歩く』という本を読んだ。内容はスピリチュアルなものではなく、日本人の他界観を大昔から現代にいたるまでさらい、その変遷を…

これからの計画

いろいろ考えたのだが、僕は今やっている取り組みに徒労感を覚えてきた。すなわち小説の賞に原稿を出すというのが段々と馬鹿らしくなってきた。まだ全然気持ちの限界までは来ていないのだが、限界まで来てから倒れるよりは早めにギブアップした方がいいとい…

魂とは何か2

前回の記事の続きである。 これまでの議論をふりかえってみると次のようなことがわかる。すなわち霊とか魂とかが意味を持ったものとして立ち上がってくるためには、背景や文脈が必須だということである。我々は平常時にはこれらの話や宗教の教義に対して本能…

魂とは何か

霊とか魂とかいう話は、一言で言うならペテンである。人は死ねばそれきりであり、まったくの無になる。そこから先の世界は存在しない。 この話がむずかしいのは結論が出たので終わりということにならないところである。上記のようなことを主張した瞬間にかな…

プランBを考える

僕は今小説家になるべく新人賞に原稿を出すということを続けている。しかし僕もいい加減かなりの歳だし、このまま作家になれないという可能性についても検討しなければならない。大体、仮に新人賞を受賞できたとしても二作目を出せるかどうかはわからない。…

新しく小説を二作ウェブ公開しました

カクヨムにて次の小説を公開しました。どちらも短い時間で読了いただけます。 kakuyomu.jp kakuyomu.jp 以上

本屋が完全に消滅するとしてもあなたはプロの小説家になりたいか

いずれ日本から本屋が完全に消滅するかもしれない。街から本屋が消えて、誰も本屋にいかない日がやってくるかもしれない。 仮にその日が今日だとしよう。突然その日がやってきたのだ。あなたは以前からプロの小説家になりたいと思い努力を重ねてきた。さて、…

メールアドレスを公開できない

僕はメールアドレスを公開するつもりがない。理由は、おかしなメールが飛んでくるかもしれないからだ。そういうのを見たくないのでメールアドレスはどこにも載せていない。 すると他の人は連絡を取るのに困るだろう。一応僕はツイッターとインスタグラムのア…

物語という文体

僕の記憶にきざまれている一文として、次のようなものがある。これはレイモンド・カーヴァーの短編小説である『ささやかだけれど、役に立つこと』の終盤の一文だ。 彼女は三個食べた。 この文の前後の文脈について説明すると、「彼女」というのはこの短編の…

僕は文学を書くことに興味がないようだ

僕の作品が「さなコン」で落選した。正確には最終選考の候補に残ることができなかった。 そこで僕は色々と考えさせられた。やっぱりコンテストというのは選考委員の考えていることを当てるゲームでしかないな、と痛感させられた。僕の作品が落ちた理由は明確…

短編小説『塔』を発表します

はじめて『デモンズ・ソウル』というゲームを遊んだとき僕は感動した。面白さのあまり続編の『ダークソウル』も『ダークソウル2』も『ダークソウル3』もプレイした。同じ会社のつくった『Bloodborne』もやった。そこでこのゲームはなんでこんなに面白いのだ…

万人受けに関する試論

しばらく前に僕は「さなコン」というウェブ小説のコンテストに自作を投稿した。それが次にかかげたリンクのもので、「遠くへ」という短編小説なのだが、これがなぜかけっこうな数の人にウケた。より正確に言うと、この作品は良いと言ってくれる人が多かった…

利他はくだらない

ここしばらく僕はThe Birthdayというロックバンドの『誰かが』という曲を聴いていた。ずっとくりかえし聴いていたので、たぶん五十回は再生していると思う。 この曲はサビのメロディーと歌詞がよく噛み合っている。そこに僕は感動して何度も聴いてしまったの…

『レキシントンの幽霊』を読む

村上春樹の『レキシントンの幽霊』という短編を再読した。それについて書く。 『レキシントンの幽霊』はかなり面白い小説だ。ただ、『武蔵境のありくい』や『かえるくん、東京を救う』のように鋭いテーマやメッセージといったものは何もない作品である。これ…