2024-12-01から1ヶ月間の記事一覧

僕は自分を徹底的に否定しなければならない

僕は人から嫌われている。どれぐらい嫌われているかというと、長年加えられていなかった家族プラスアルファのメンバーから構成されるLINEのグループチャットに、つい先日はじめて加えられたぐらいには嫌われている。一体何の温情があって弟が僕をそこに加え…

なぜ『ドン・キホーテ』は『後篇』で崩壊してしまったのか

『ドン・キホーテ前篇』はあらゆる物語の中でも最高のものだ。他のすべての物語を置き去りにしてひとり頂点に在る、と言っていいだろう。 しかしこの作品は『後篇』で崩壊してしまう。作者のセルバンテスは物語の力を否定し、読者を徹底的に攻撃するのだ。そ…

2025年に読みたいもの

僕が2025年に読みたいものは今のところひとつしか決まっていない。旧約聖書だ。それを真面目に読む予定である。 聖書は聖書だけを読んでも意味が分からない箇所が多く、何かしらガイドとなる本を必要とするものだが、とりあえずそれは脇に置いて、テキストだ…

ミッドポイントと倫理観

三幕構成においては物語がミッドポイントを通過すると、主人公の状況が大きく下降する。この仕組みはすでに過去の記事で述べたが、作者の中心にある倫理観が、主人公が楽な道を行くのを赦さないということによって起こる。 これは考えてみれば不思議な作用で…

僕はどのように小説を書くべきなのか

僕はいわゆるアマチュア作家だ。プロになることを目指している。もしプロになったらおそらく出版社から売れる作品を書くことを求められるだろう。だから今ここでヒットする小説をつくるにはどうすればいいのかを考えておくのは、きっと有用なことだと思う。 …

物語の作り方に決定的なものが存在しないのはなぜか

世の中には数多くの「物語の作り方」が存在している。本屋や本の通販サイトにいけばそういう本がたくさん並んでいるものだ。しかしそれらの内容は似たり寄ったりではなく、けっこうバリエーションがある。僕にとってそれは意外なことである。内容が異なるも…

『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』を読む2

あらためて村上春樹の『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』を解説する。 先行作品 この小説は読者がすでにヘミングウェイの『日はまた昇る』と『武器よさらば』を読み終えていることを想定している。これらの作品を理解していないかぎり、『世界…

三幕構成で小説を読み解く

三幕構成という物語の見方について書かれた記事がWikipediaにある。これはなかなかよくできた記事なので、僕は何度か読んでみた。それで学んだことや、三幕構成に対する自分自身の意見を加えたものを、本稿では書く。 本稿であつかう物語は次の4つの小説であ…

「見るなの禁」を考える

「見るなの禁」とは何なのか。本稿ではその正体について考えてみようと思う。 ここで言う「見るなの禁」とは、日本神話において、イザナギが黄泉の国で変り果てた妻の姿を目撃してしまう話や、トヨタマビメが出産時に鰐の姿を取ったところを夫が覗いてしまう…