中身が空の箱について

『ドン・キホーテ後篇』と『百年の孤独』と『豊饒の海』はいずれも同じ結論を出している小説だ。簡単に言うと「物語というのは中身が空のクッキーの箱だ」というのがこれら三者の主張である。どういうことか。 人は「これはクッキーの入っている箱ですよ」と…

なぜ物語の構造を理解するのはむずかしいのか

ずいぶんと長く書き続けてきたが、僕のブログは全然人に読まれない。このことからおのずとわかってきたことがある。 それは物語を解釈するのはむずかしいということだ。それも自分なりに解釈しようとか、自由な感想を言うという体ではなく、これが唯一の正解…

村上春樹は答えを示している

村上春樹の書く小説に対して多くの人々が次のような感覚を抱いている。すなわち作者が物事を明言せず、結論を書かずにぼんやりとした形のまま話を置いている、と彼らは思っている。 僕の考えではこれは間違った認識だ。村上春樹は作中の問いの多くに対して明…

古典の骨格を再利用する

僕は小説をまったく読まない人でも理解できるような文学を作りたいと常々思っている。なぜなら僕は文学的な価値というものを強く信じているからだ。この世の誰もが『百年の孤独』や『失われた時を求めて』を読み、心を打たれるべきだと確信しているからだ。 …

引き続き文体について考える

最近僕は元気がない。体調はよいのだが、小説を読む気も書く気も起きないのだ。要はずっとぼうっとしているような気分だ。自分で言うのもなんだが、心ここにあらずである。 そこで、ここでは新しく書く小説の文体について夢想してみたい。最近僕は、ひょっと…

プロフィールに病名や障害名を記すのはマウント行為である

ツイッターにおいてプロフィールに病名や障害名を記すのは他者へのマウント行為である。別のことに置き換えて言うと、現実の社交の場において「私は東大卒です」とか「私は年収2000万円です」とか言うのに似ている。そこまで強力かどうかは別として、方向性…

ある興味深いやり取り

この前僕はネット上で興味深いやり取りをした。ある人がチャット欄に他者のツイートのURLを埋め込み形式で貼ったのだ。それは内容としてはウェブ小説家の嘆きで、自作に否定的なコメントがついたことを被害者ぶって喧伝していた。ちなみにその作品についたコ…

『真子と鏡』を読む

自作の中編小説『真子と鏡』について述べる。本稿はすでに同作を読み終えた者を対象にした記事になっている。 riktoh.hatenablog.com 『真子と鏡』の直接の祖先はホフマンの『大晦日の夜の冒険』である。これは主人公の男性が悪魔によって鏡像を奪われる事件…

『HUNTER×HUNTER』を読む2

漫画『ハンターハンター』の最大のテーマはゲームである。「どうすればゲームを最大限面白く遊ぶことができるか」という問題意識が作者にはある。物語を通じてさまざまなゲームの形を表現し、至高の遊び方を追究しようというのが作者の目標である。 一般的に…

AIに小説の審査をやらせると、人々は何をし出すか

「小説の新人賞への応募者が多すぎて審査のコストがかかるというなら、AIに小説の審査をやらせてみてはどうか?」と提案している人を僕はツイッターで見かけた。そこで僕はもしAIに小説の審査をやらせたらどういうことが起きるかを想像してみた。 十中八九、…