1Q84を読む
リトル・ピープルに対抗するもの。それこそが個人の願いである。自分固有の願いを持ち、育て、また自覚すること。それを守り切り、かなえること。これが『1Q84』の打ち出した中心的なテーマだ。 村上はそれを強調するために卵型の比喩というテクニックを用い…
前回の記事で、見えない力が作用して、作用される側が力を行使するという構造について言及した。これはリトル・ピープルについても同じことが言える。 その前に確認しておくこととして、抑圧された怒りの発揮という構造がある。ある人物が他者から被害を受け…
あらためて村上春樹の『1Q84』を読み解いていく。本稿は読み解きをおこなった記事の目次である。 riktoh.hatenablog.com riktoh.hatenablog.com riktoh.hatenablog.com riktoh.hatenablog.com riktoh.hatenablog.com
海の直喩 Book1 前編 Book1 後編 Book2 前編 Book2 後編 Book3 前編 Book3 後編 月の暗喩 解説 海の直喩 『1Q84』には海を軸にした直喩が頻出する。次に一覧を掲げたので確認していこう。ページ数は文庫版を参照している。 Book1 前編 P11 中年の運転手は、…
カフカの『城』については以前解説した。 riktoh.hatenablog.com riktoh.hatenablog.com 『城』が抱える本質的な問題に村上春樹の『1Q84』は答えていると思うので、今回はそれについて説明する。 『1Q84』が『城』を参照していることが明示されるのは次の箇…
『1Q84』の最初の青豆の章には、文庫版では24ページの中に「ヤナーチェック」という固有名詞が13回も登場する。この繰り返しについて本記事では解説をおこなう。 セルバンテスは『ドン・キホーテ』中の短編『愚かな物好きの話』において、小説の最も基本的な…