この記事は、村上春樹の小説を理解できず、それどころか腹の底から彼を嫌い軽蔑している人に向けて書いた。
さて、村上作品を理解する方法だが、まずは次の二つの条件を達成する。
- 三島由紀夫の『豊饒の海』に心酔し、くりかえし読む。その結末に呪われた気持ちになる。
- ぎりぎりの所で自殺に耐えるという心境で、五年以上、働きつづける。この間は恋人・友人・家族との関係を断ち、まったく孤独でなければならない。仕事も上手く行かない方がいい。ニヒリズムに陥ってはならない。この期間が長ければ長いほどいい。
この状態で『1Q84』を読む。すると間違いなく、乾いた土に水が染み入るようにすんなりと作品の素晴らしさが理解できるであろう。