日本神話
僕はふたたび『古事記』の現代語訳をはじめから読んでいる。やっぱり良いなと思う。今回特に目を奪われるのは左右だ。左右というモチーフが本当に面白い。その面白さは異常と言っていいぐらいだ。左右はどうやら『古事記』に認められる特徴的なテーマやモチ…
「見るなの禁」とは何なのか。本稿ではその正体について考えてみようと思う。 ここで言う「見るなの禁」とは、日本神話において、イザナギが黄泉の国で変り果てた妻の姿を目撃してしまう話や、トヨタマビメが出産時に鰐の姿を取ったところを夫が覗いてしまう…
僕は『カラマーゾフの兄弟』を敵視している。憎んでいると言っても過言ではないだろう。ドストエフスキーが現代に甦ったら、目の前までいって顔面に右ストレートをぶちこんでやらないと気が済まない。その程度には怒っている。 なぜ僕はこの作品を敵視するの…
最近、夏目漱石の『三四郎』を序盤だけ読んだ。そこで僕はどうにも驚かされた。まさに冒頭がエディプス・コンプレックスの話型だったからだ。列車内で見知らぬ年上の男性が、主人公の目の前で若い女性と親しげに話をするという形で二人は結合するのだが、し…
古事記に海はくりかえし登場する。イザナギとイザナミが矛を突き立てる原初の混沌も、たぶん海がイメージの源なのだろう。その後にイザナミの死を経過してから、イザナギは三貴子を産む。このときにスサノオは海を治めるよう命じられるが、従わない。彼は成…
影と鏡像は負の姿である。それは正の姿としては、古事記における二ということになる。西洋的な価値観から古事記における二の姿を見ると、それは影と鏡像として目に映る。 古事記における二は、代表的なものとしてはやはり結婚する男女である。彼らは持ち物を…
いま僕は河出文庫の現代語訳の『古事記』を読んでいる最中だ。全体の1/3まで読み進めた。今日はここまでで心に留まったことを書いてみたい。 登場が多いのはともかく海と男女である。海と男女のことばかりが書かれていると思っていいかもしれない。 エピソー…