『Blind Pilots』を読む

Cooper Temple Clauseの曲『Blind Pilots』の歌詞について書く。

Spotify

open.spotify.com

歌詞

songmeanings.com

訳文

変わらないでくれ
行かないでくれ
僕たちの小さな秘密をいつまでも隠したままでいてくれ
僕たちはどうやってこんな高さまで来たんだろう
そしてこの重い話は何なんだ

僕らはいつも酒を飲んでるけれど
いつも喧嘩してるわけじゃない
飛行機は離陸した
でも僕たちはもう陸からは目に入らない
だって飛行機は身軽だから
車輪はまだ機体の外に出ている
事態は始まったばかりだ
待ってろよ

君は状況を変えるためにやってきた
僕のレベルを上げるために
君は挑戦させるためにやってきた
僕と僕の過ちの面倒を見るために
僕は君が期待するような男のフリはできない
でも待ってろ、ちゃんと着陸してみせる

誰も助けに来ない
誰も見てくれない
誰か僕に操縦マニュアルを渡してくれ

僕はすぐにいなくなるよ
ドアの所でまた会おう
だからダビデ王の心を纏って
戦いについて学ぶんだ
僕たちは奇妙な飛行機に乗った
盲目の操縦士
壊れた車に乗ったおせっかい者

君は状況を変えるためにやってきた
僕のレベルを上げるために
君は挑戦させるためにやってきた
僕と僕の過ちの面倒を見るために
僕は君が期待するような男のフリはできない
でも待ってろ、ちゃんと着陸してみせる

ああ、勝つために僕が変えられることを全てリストにしたんだ
できないし、言いたくもない
車輪はゆっくりと機体に収納される
神よ、お願いだ、魂をもたせてくれ
この熱には耐えられそうもない
でも待ってろ、ちゃんと着陸してみせるから

誰も助けに来ない
誰も見てくれない
誰か僕に操縦マニュアルを渡してくれ

訳文の出所

次のページのAppleさんに翻訳を依頼し、成果物に僕の解釈で修正を加えたのが上述の訳文である。

Apple【クリエイティブ翻訳】さん(芸能エージェント/クリエイティブ翻訳家)のプロフィール | ココナラ

大意

以下は僕の解釈である。

この曲の歌い手は男であり、Youが指しているのはパートナーの女性である。

飛行機は二人の関係性のメタファーだ。女は男に、より高い目標に挑戦するよう求めている。あなたは本当はもっと優れた人間なのだと女は主張する。男にはそうは思えない。でもなんとかしてやってのけようとする。高く飛んだ飛行機を、彼は無事に着陸させようと努力する。しかしそれは簡単なことではない。彼は心のなかで悲鳴を上げる。「誰か僕に操縦マニュアルを渡してくれ」。

詳細

  • landing light は着陸灯のことを指す。Wikipeadiaを見れば分かるが、これは離陸時と着陸時に点灯する。歌詞の前半で出てくる「The landing lights are on」は、離陸時のそれだと解釈した。理由は、歌詞のこの時点ではまだ事態が始まったばかりのはずだからである。
  • 「But we're just out of sight」は、そのままの意味で、「僕らは見えない」ということだと解釈した。これは、すでに空の高いところに飛び立ったので、陸や空港からは見えないということだろうと思う。
  • 「There's still wheels」は、離陸したばかりなので、車輪が飛行機にまだ収納されていないということだ。次はJALの解説である。

www.jal.co.jp

  • 「You came along to change the grade」は、大意で述べたように、女が男により高い目標に挑戦するよう求めているということだが、このgradeは飛行機の座席のグレードのこととかけていると思われる。エコノミー・クラスやビジネス・クラス、ファースト・クラスなどのことである。
  • 「I'll try and land this thing」という文言が、サビの最後に出てくる。飛行機が着陸するというのは趣深い表現である。この曲における着陸するという言葉には、目的地にたどり着くということと、妥協するということの両方が含まれているように思われる。もしも重たい飛行機が着陸に失敗すれば、大地に激突して、大きな事故となるであろう。それをなんとかして耐える、というニュアンスが含まれているように僕には思われる。
  • 付言しておくと、最初の「I hope you never change. I hope you never go」は、女が男に対して「変わってほしい」と願っていることと対照的である。また、「we're just out of sight」は「Blind pilot」と対照的になっている。

所感

優れた歌詞である。曲もとても力強い。僕は感動して、何度もこの曲を再生した。なぜこの曲が有名でないのか、とても不思議である。