日はまた昇る

『日はまた昇る』を読む4

前回の記事で説明した通り、『日はまた昇る』は『ドン・キホーテ』的な小説にとって替わることを狙って書かれた。ドン・キホーテをなぞらえた人物であるロバート・コーンが滅んで、若者ロメロがあらわれるという物語構成にその意図はよく表現されている。 に…

僕の考える小説の歴史の仮説

いままで僕は小説の歴史というものを意識したことがなかった。それはとほうもなく巨大なもので、僕のような小者には到底理解できないに違いないと思いこんでいた。 でも最近はすこし考え方が変わってきた。別に歴史の全貌をとらえる必要はないのだ。というか…

『日はまた昇る』を読む3

前回の記事で重要なことはすべて説明したので、ここでは細かい所を述べる。 コーンとドン・キホーテ コーンはドン・キホーテ的な人物である。この小説の書き出しはコーンの人物描写となっているが、そこではいかにも『ドン・キホーテ』的な表現がなされてい…

『日はまた昇る』を読む2

ヘミングウェイの『日はまた昇る』を端的に言い表すと、これは「耐える」文学である。我々はこの本を通じて、苦しみに耐える人の在り方を学ぶことができる。実際に主人公は作中で、耐えること以外には何もしないのだ。何も事件は起こらない。物語と呼べるも…

『日はまた昇る』を読む

ヘミングウェイの『日はまた昇る』を高見浩訳で一度だけ読了した。 ともかく一度目の感想としては、まったく面白くなかった。名高い古典でこれほど退屈な読書体験は珍しい。一体作中で何が問題になっているのか、何を面白いと思えばいいのかさっぱり分からな…